メタバースを使ったイベントや展示会、説明会に挑戦しようとすると、必ずぶつかる壁がひとつあります。
「そもそも、どうやって人を集めればいいの…?」
3D空間をしっかり作り込んでも、人が来なければ意味がありません。
しかもメタバースの集客は、従来のWeb集客やリアルイベントと似ているようで全然違うところがあります。
このガイドでは、「来場数を増やす」だけでなく、「そこから行動につなげる」までをセットで考えながら、
- どこでつまずきやすいか
- どう設計すれば成果につながるか
を、PC・スマホ両方のユーザーを想定して、できるだけ分かりやすく整理していきます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の企業・環境・状況への適用や効果を保証するものではありません。内容の利用は読者ご自身の判断と責任にてお願いいたします。参考として合わせてださい。
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監修・執筆:UEL株式会社編集部
UEL株式会社のTechデザイン企画部と現場に精通した社内有識者が監修・執筆しています。
目次
メタバース集客とは?なぜ従来の集客と違うのか
メタバース集客が注目される理由
メタバース集客が注目されている背景には、次のようなポイントがあります。
- 場所に縛られない:国内外どこからでも、PCやスマホがあれば参加できる
- 「同じ場にいる感覚」をオンラインで再現できる:アバター同士が同じ空間にいて、会話したり、歩き回ったりできる
- 行動ログを細かく追える:どこにどれくらい滞在したか、どのブースで何をしたかなど、行動履歴をデータとして残しやすい
つまりメタバースは、「リアルイベントの臨場感 × オンラインのデータ性」をかけ合わせた新しい場です。
だからこそ集客の考え方も、リアルとオンラインのいいとこ取りが求められます。
Web集客・イベント集客との違い
従来の集客と比べて、メタバースならではの違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | Webセミナー・LP中心 | リアルイベント | メタバース |
| 参加のしやすさ | 高い(クリックで参加) | 低い(移動が必要) | 中〜高(入室設計次第) |
| 体験の豊かさ | スライド・動画中心 | 空間体験が豊か | 空間+インタラクション |
| 行動ログの細かさ | クリック・視聴時間など | 限定的(カウント中心) | 空間内行動を細かく追える |
| 用途 | 説明・講演が中心 | 展示・交流・体験 | 展示・交流・体験・ゲーム性 |
- Webセミナー・LP中心:クリックで参加しやすいが、体験はスライドや動画が中心
- リアルイベント:移動の手間はあるが、空間体験が豊かで記憶に残りやすい
- メタバース:オンラインで参加しやすく、空間+インタラクションという体験ができ、行動ログも細かく残せる
メタバースは「セミナー」としても「展示会」としても「ワークショップ」としても使えますが、
なんとなくオンラインセミナーっぽく告知すると、魅力が伝わりにくいという問題も起きがちです。
- Webセミナー・LP中心:クリックで参加しやすいが、体験はスライドや動画が中心
- リアルイベント:移動の手間はあるが、空間体験が豊かで記憶に残りやすい
「集客=来場」では終わらない考え方
メタバース集客で特に重要なのは、「来てくれたか」よりも「来て何をしてくれたか」までをセットで設計することです。
例えば、
- BtoB展示会なら:来場 → 製品説明を見る → 資料DL → 商談予約
- 採用イベントなら:来場 → 会社説明を聞く → 社員座談会に参加 → エントリー
- ファン向けイベントなら:来場 → コーナーを回遊 → SNS投稿 → コミュニティ参加
このように、「来場」はスタート地点でしかない、という前提に立つと、どこに何を書けば良いか、どんな特典を用意するか、どんな導線を引くかが見えてきます。
メタバース集客がうまくいかない3つの理由
「作ったら来てくれる」は通用しない
ありがちな誤解が、「メタバース空間をしっかり作れば、話題になって自然と人が集まるはず」という考え方です。
実際には、メタバース自体がまだ「当たり前の選択肢」になっておらず、「面白そうだけど、わざわざ行く理由が分からない」という人も多い状態です。
そのため、「メタバースだから来る」のではなく、「行く理由があるから来る」と考えた方が、結果的にうまくいきます。
メタバースはあくまで“体験の器”であり、集客は別に設計が必要だと捉えましょう。
ターゲットがあいまいでメッセージが刺さらない
集客が伸びないときによくあるのが、ターゲットがあいまいな状態です。
- 「誰でも歓迎!」と広く呼びかけている
- メッセージがふわっとしていて、特定の誰かに刺さる言葉になっていない
- 「メタバース体験会」「バーチャルイベント」など、内容がイメージしづらい名前だけで終わっている
本来は、例えば「工場設備の更新を検討している製造業の設備担当者向け」「地方から都心企業を受けている学生向け」など、このイベントは誰のためのものかを一文で言えるレベルまで絞り込んだ方が、メッセージの強さが増します。
メタバースの前後の導線が設計されていない
メタバースの集客が「とりあえずURL配っただけ」で終わっているケースも多いです。
- 告知:LPやメールでURLを貼って終わり
- 開催中:案内もなく、どこに行けばいいか分からない
- 終了後:お礼メールもフォローもなし
これでは、せっかく来てくれた人も「よく分からないまま終わった」という印象になってしまいます。
本来は、メタバースに来る前のコミュニケーション(期待づくり)、メタバース内での体験導線、終了後のフォローまでを、ひとつの旅(カスタマージャーニー)として設計することが重要です。
集客のゴールを先に決める(KPI設計)
次に、「どこをゴールとするか」を決めておきます。
ここが曖昧だと、集客の良し悪しを判断できません。
メタバースの集客では、来場数、滞在時間、行動率(資料DLや商談予約など)といった指標を使うことが多いですが、すべてを一度に追おうとすると運用が苦しくなります。
あらかじめ「今回はどの数字を特に重視するのか」を決めておくことが大切です。
来場数・滞在時間・行動率の考え方
メタバース集客でよく見る指標は、
- 来場数(ユニークユーザー数):何人来てくれたか
- 滞在時間(平均・中央値):どれくらい時間を使ってくれたか
- 行動率(アクション率):資料DLやチャット、商談予約など、どれくらい行動してくれたか
といったものです。
ただし、これらを全部同じ重みで見るのではなく、「今回の目的に対して、どれが一番大事か」を決めておくと、判断しやすくなります。
BtoBとBtoCで異なる成果指標
BtoBとBtoCでは、注目すべき成果指標が少し変わります。
BtoBの場合:
- 来場者数よりも、名刺交換数・商談数・案件化数
- どの業種・役職の人が多かったか(質)
- 既存客/新規見込み客の比率
BtoCの場合:
- 全体の来場者数・再訪率
- SNS投稿数・ハッシュタグ利用数
- メール登録・会員登録・アプリダウンロード数
同じ「集客」でも、何を増やしたいのかが違えば見るべき数字も変わる、というイメージです。
「成功した集客」と言える状態を定義する
イベントごとに、「今回、こうなっていれば集客は成功と言える」という状態を、できるだけ具体的に言葉にしておきましょう。
例えば、
- 新規のBtoBリードを最低◯社、できれば◯社獲得できればOK
- 採用イベントで◯名の参加、そのうち◯名以上が説明会後にエントリーしてくれれば成功
- ファンイベントで参加者の30%以上がSNSに投稿してくれれば合格ライン
この成功ラインを先に決めておくと、どのチャネルに力を入れるか、どのコンテンツを強化するかといった事前の判断と、事後の振り返りがしやすくなります。
ターゲットから考えるメタバース集客設計
誰に来てほしいのかを一文で言えるようにする
まずは、シンプルに一文で言えるレベルまでターゲットを絞り込むことをおすすめします。
- ◯◯業界でDXを担当しているマネージャー層
- 首都圏以外から就活しているIT志望の学生
- すでに製品を購入してくれているユーザー
この一文がハッキリすると、メールやLPのコピー、画像や動画で見せるシーン、開催時間・曜日まで、自然と決まりやすくなります。
BtoB/BtoCで変わる誘い方の違い
BtoBの場合:
- メリットを「業務の効率化」「売上・生産性」「リスク削減」などで具体的に伝える
- 上司への説明材料として使えるよう、資料DLや録画視聴もセットで提供する
- 既存顧客・見込み客リストへのメールマーケティングが強い
BtoCの場合:
- 「楽しそう」「お得そう」「限定」といった感情的なフックが効きやすい
- 友達と一緒に来たくなるソーシャル性が重要
- SNS・インフルエンサー・コミュニティとの相性が良い
ターゲットの「頭」と「心」のどちらに、どんな言葉が響くのかを意識して、誘い方を変えていきます。
PCユーザーとスマホユーザーで告知を変える
メタバースは、PCとスマホで体験のされ方が違うことも多いです。
- PC:画面が大きく、キーボード・マウスで操作しやすい
- スマホ:手軽に参加しやすいが、画面が小さく、文字情報は見づらい
この差を踏まえて、メールやWebサイトではPCユーザー向けのメリット(作業しやすさ・資料閲覧のしやすさ)を強調し、SNSやLINEなどスマホ中心のチャネルでは「タップだけで入れる」「短時間で体験できる」といった気軽さを前面に出すなど、チャネル別に訴求ポイントを変えると効果的です。
オンライン・オフラインをつないだOMO集客チャネル
メール・SNS・Web広告・既存顧客リストの使い分け
オンラインの主なチャネルには、メール(メルマガ/個別案内)、SNS(X、Instagram、LinkedInなど)、Webサイト・ブログ・LP、Web広告(リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告)があります。
- メール:既存リストへの確実なリマインド
- SNS:話題づくり・拡散
- Webサイト/ブログ:検索流入・詳しい説明
- 広告:短期間にリーチを増やす手段
すべてをなんとなく使うのではなく、「このイベントは、誰を、どのチャネルから主に呼ぶのか」を決めて設計することがポイントです。
リアルイベント・店舗・DMからメタバースへ誘導する
メタバース集客は、オンラインだけとは限りません。リアルの場から誘導できると、ハイブリッドな接点が作れます。
例えば、
- 展示会ブースで「後日メタバース展示会でも詳しいデモを行います」と案内する
- 店舗レジ付近やPOPに、バーチャル店舗イベントのQRコードを設置する
- DMやカタログにメタバースイベントの案内ページURLやQRを掲載する
リアルで一度接触している分、「あのときの続きがオンラインでできる」という文脈が生まれ、参加ハードルが下がります。
申込フォーム・LPで「行きたくなる理由」をつくる
メタバースイベントのLPや申込フォームでは、「行きたくなる理由」が明確かどうかが非常に重要です。
チェックしたいポイント:
☐ 誰のためのイベントか、一目で分かるか
☐ 他のオンラインセミナーと何が違うのかが書かれているか
☐ メタバースならではの価値(体験・交流・限定コンテンツなど)が伝わるか
☐ 開催日時・所要時間・必要なもの(PC/スマホ)など、参加ハードルが把握しやすいか
「メタバースだから来てほしい」ではなく、「この目的のために、メタバースという形式を選んでいる」という順番で伝えると、納得感が高まりやすくなります。
来場を“その場限り”で終わらせない仕掛け
特典・限定コンテンツ・参加証明バッジの設計
人が行動したくなる動機はシンプルです。
- 限定:「ここでしか見られない/もらえない」
- 希少性:「いつまで/何人まで」
- 承認:「参加したことが目に見える形で残る」
メタバースの特性を活かすなら、イベント限定のアバターアイテムやバッジ、会場内だけで見られる裏話コンテンツ、参加履歴をもとにした次回イベントの優先招待などが考えられます。
メタバース内からのメルマガ登録・資料DL導線
せっかくメタバース空間に来てくれた人には、その場で次の接点を作るのが効果的です。
次の接点の例としては、
- 名刺交換スペース
- メール登録用のパネル・フォーム
- 資料DLコーナー
- 「後日録画視聴URLを送ります」などの案内
「今ここで登録しておくと、あとで◯◯が届く」という価値をセットにすると、行動率が上がります。
イベント後フォロー(メール・コミュニティ招待など)
イベントが終わったら、できるだけ早くフォローを入れます。
- お礼メール+アンケート
- イベントのハイライトまとめ
- 次回イベントやコミュニティへの招待
- 役立つ資料や記事の紹介
メタバースでの体験が新鮮なうちにフォローすることで、記憶に残りやすく、「また参加しよう」と思ってもらえる確率が高まります。
プロモーション効果を高めるコンテンツ企画
コラボ企画・ゲスト登壇で話題をつくる
話題性を出すには、コラボ企画やゲスト登壇が効果的です。
例えば、
- 業界内で影響力のある企業や専門家とのコラボ
- 人気コンテンツとのタイアップ
- 有識者やインフルエンサーのゲスト登壇
ポイントは、単に名前を借りるのではなく、メタバースならではのコラボにすることです。
また、ゲスト側のSNSやメディアでも告知してもらえるよう、双方にメリットがある企画にすることも重要です。
ユーザー参加型企画(質問・投票・コンテスト)
「見るだけ」よりも「参加できる」企画の方が記憶に残りやすく、満足度も高くなります。
例えば、
- リアルタイムの質問コーナーやお悩み相談
- 投票・アンケートでコンテンツが変化する演出
- ユーザー投稿コンテスト(作品・アイデア・スクリーンショットなど)
特にメタバースは「場」に集まっている状態なので、その場の空気を一緒に作る企画と相性が良いです。
SNSでシェアしたくなる体験設計
BtoBでもBtoCでも、SNSでのシェアは重要なプロモーション要素です。
- 思わずスクリーンショットを撮りたくなる瞬間(集合写真・記念撮影など)
- 「◯◯を達成しました!」と自慢したくなる仕掛け(バッジ・称号)
- ハッシュタグやテンプレート文を用意しておく
参加者が「自分の言葉で紹介しやすい」ように、イベントの一言キャッチコピー、短いハッシュタグ、シンプルな説明文を事前に用意しておくと、投稿しやすくなります。
集客施策の振り返りと改善ポイント
チャネル別の集客数と質を比べる
どれだけ練った施策でも、一度で完璧に当てることはほぼありません。大事なのは「終わったあと」にどう振り返るかです。
まずは、メール経由、SNS経由、広告経由、リアルイベント経由など、チャネルごとのクリック数・申込数・来場数・その後の行動(資料DL・商談・応募など)を比較してみましょう。
数が多いチャネルだけでなく、質が高いチャネルにも目を向けることがポイントです。
初回・リピート・紹介の比率を見る
単発イベントであっても、次のような視点で見ておくと中長期戦略のヒントになります。
- 初めて参加した人の割合
- 2回以上参加してくれている人の割合
- 紹介(友人・同僚経由)の割合
リピート・紹介の比率が少しずつ増えていれば、「集客の土台が育ちつつある」サインと捉えられます。
次回以降の「やめる/続ける/増やす」
最後に、シンプルですが効果の高い振り返りの問いを3つ用意しておくと良いでしょう。
- やめること:効果が薄かった・工数が重すぎた施策は何か?
- 続けること:毎回安定して成果につながっている施策は何か?
- 増やすこと:小さく試してうまくいった施策を、どこまで広げられるか?
この3つを毎回整理しておくと、「回数を重ねるほど楽になり、成果が上がる集客」に近づいていきます。
よくある質問(FAQ)
メタバースが初めてでも、本当に集客できますか?
上手く仕組みを作ることで、集客できる可能性は高まります。
ただし「空間づくり」より「体験と導線の設計」に時間を使うことが大事です。
・まずは小さめのターゲット(既存顧客・自社会員・社内など)に対して実施する
・メールや既存チャネルを中心に、テスト的にやってみる企画として案内する
・来場数よりも、参加者の声や次のアクション率を重視して振り返る
というスタンスで始めると、「メタバースだから特別なことをしないと…」というプレッシャーも減り、現実的に運用しやすくなります。
どれくらい人が集まれば「成功」と言えますか?
人数の絶対値ではなく、「目的に対して十分かどうか」で判断するのがおすすめです。
・「新規リード獲得」が目的なら、来場者数よりも名刺交換数や商談数が重要
・「既存ユーザーとの関係強化」が目的なら、参加者数よりも参加者の満足度やリピート意向の方が大事
このように、イベントごとに、「このくらいの数値になれば、集客としては成功と言える」というラインを先に決めておき、その基準と比べてどうかを見るようにすると、ブレにくくなります。
予算があまりないのですが、何から投資すべきですか?
「空間の豪華さ」よりも、「ターゲットと導線」に優先的に投資した方が成果に直結しやすいです。
優先度のイメージ:
1. 企画・ターゲット設計(誰のための何のイベントか)
2. 告知・導線設計(どのチャネルからどう誘導するか)
3. メタバース空間の基本機能(入室しやすさ・見やすさ・動きやすさ)
4. 演出や装飾の豪華さ
見た目を豪華にする前に、「来て・迷わず回れて・次の行動につながる」最低限の体験を整えることをおすすめします。
まとめ|集客は「入口」ではなく「体験設計」
成功の鍵は「MVP → KPI → テンプレ → 拡張」の高速ループ
ここまで見てきたように、メタバース集客は空間を作ること、人を集めることのどちらか片方だけでは成り立ちません。
「誰に、どんな価値ある体験をしてもらい、どんな行動につなげたいのか」という問いから逆算して、
- ゴール(KPI)を先に決める
- ターゲットを一文で言い切る
- オンラインとオフライン、PCとスマホの違いを前提に設計する
- 来場前 → 当日 → 終了後までの導線を一続きの体験として考える
- 結果を振り返り、「やめる/続ける/増やす」を繰り返す
というサイクルを回していくことが、一番の近道です。
メタバースは、まだ「正解が固まっていない領域」だからこそ、小さく試しながら、自社ならではの勝ちパターンを見つけていく余地があります。
この記事が、あなたのメタバース集客・プロモーション戦略を組み立てるうえでのひとつの設計図として役立てばうれしいです。









