メッシュを使用する多くのCAE解析では、解析対象を小さな要素に分割して計算します。その際、「メッシュサイズをどの程度に設定すればよいのか」と悩むことも多いのではないでしょうか。
一般にメッシュを細かくすると、形状や物理現象を詳細に表現しやすくなります。一方で、要素数が増えるため、計算時間やメモリ使用量などの計算負荷も大きくなる傾向があります。
そのため、メッシュサイズは単純に「細かいほどよい」と考えるのではなく、解析目的や対象形状、求める精度などを踏まえて設定することが重要です。
本記事では、CAE解析におけるメッシュサイズの基本から、解析精度・計算時間との関係、サイズを決める際の考え方、メッシュ依存性や収束確認までわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- CAE解析におけるメッシュサイズの基本的な考え方
- 粗いメッシュと細かいメッシュの違い
- メッシュサイズが解析精度や計算時間に与える影響
- 適切なメッシュサイズを決める際の考え方
- 局所細分化を活用するポイント
- メッシュ依存性とメッシュ収束の意味
- メッシュサイズを設定する際の注意点
CAEをこれから学ぶ方はもちろん、メッシュサイズの設定を見直したい方や、解析精度と計算負荷のバランスに悩んでいる方にも参考になる内容です。
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監修:UEL株式会社編集部
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目次
CAE解析のメッシュ化とメッシュサイズ
メッシュサイズは、CAE解析で形状をどの程度の細かさに分割するかを決める重要な設定項目です。
CAE解析では、対象となる部品や構造物をそのまま計算するのではなく、小さな要素に分割して数値計算を行います。このとき、各要素の大きさを考えるうえで使われるのが「メッシュサイズ」です。
一般に、メッシュサイズを小さくすると形状や物理現象を細かく表現しやすくなります。一方で、要素数が増えるため、計算時間やメモリ使用量などの負荷も大きくなる傾向があります。
そのため、CAE解析では単純にメッシュを細かくするのではなく、解析目的や対象形状に応じて適切なサイズを設定することが重要です。
メッシュサイズが表すもの
メッシュサイズとは、解析対象を分割する要素の大きさを示す考え方です。
例えば、ある部品を大きな要素で分割すれば「粗いメッシュ」になり、小さな要素で細かく分割すれば「細かいメッシュ」になります。
ただし、実際のCAEソフトウェアでは、メッシュサイズの指定方法が必ずしも一律ではありません。
代表的には、次のような設定方法があります。
- 要素の代表長さを指定する
- エッジ上の分割数を指定する
- 曲率に応じて細分化する
- 特定領域だけ局所的に細かくする
- 自動メッシュ生成機能に基準サイズを与える
このため、「メッシュサイズ=すべての要素が完全に同じ寸法になる」と考えるのではなく、解析モデル全体の細かさを決める基準値のひとつとして捉えると理解しやすくなります。
また、複雑な形状では、曲面や穴、フィレット、薄肉部などに合わせて要素サイズが調整される場合があります。
解析ソフトやメッシュ生成方式によって設定方法は異なるため、数値だけでなく「どの領域に、どの程度の細かさでメッシュを配置するか」を考えることが重要です。
メッシュサイズと要素数の関係
メッシュサイズを小さくすると、一般的に解析モデルを構成する要素数は増加します。
例えば、同じ形状を解析する場合でも、1つ1つの要素を細かくすれば、形状全体を表現するために必要な要素の数は多くなります。
反対に、大きな要素で分割すれば要素数は少なくなります。
この関係を整理すると、次のようになります。
| 項目 | 粗いメッシュ | 細かいメッシュ |
|---|---|---|
| 要素サイズ | 大きい | 小さい |
| 要素数 | 少ない傾向 | 多い傾向 |
| 形状表現 | 簡略になりやすい | 詳細に表現しやすい |
| 計算時間 | 短くなりやすい | 長くなりやすい |
| メモリ使用量 | 少なくなりやすい | 多くなりやすい |
| 局所的な変化 | 捉えにくい場合がある | 捉えやすくなる場合がある |
ただし、「要素数が多いほど必ず正しい解析結果になる」とは限りません。
解析精度には、メッシュサイズだけでなく、要素形状、要素次数、メッシュ品質、材料特性、境界条件、荷重条件なども関係します。メッシュサイズが同じでも、一次要素と二次要素、シェル要素とソリッド要素など、要素タイプや要素次数によって解析精度と計算負荷は異なります。特に曲げ変形、薄肉形状、接触解析では、サイズだけでなく要素形式や板厚方向の分割数も確認する必要があります。
また、必要以上に細かいメッシュを設定すると、解析結果の変化が小さいにもかかわらず、計算時間だけが大幅に増えるケースもあります。
そのため、要素数の多さそのものを目的にするのではなく、必要な精度を確保するために適切な要素数を検討することが重要です。
メッシュサイズを設定する目的
メッシュサイズを設定する目的は、解析精度と計算負荷のバランスを取りながら、対象となる現象を適切に表現することです。
例えば、部品全体のおおまかな変形傾向を確認したい場合と、穴周辺の応力分布を詳細に確認したい場合では、必要となるメッシュの細かさが異なります。
前者では、全体形状を把握できる程度のメッシュでも目的を満たせる可能性があります。一方、後者では応力が大きく変化する領域を細かく分割する必要が生じる場合があります。
メッシュサイズを決める際は、主に次の観点を整理します。
- 何を評価したい解析なのか
- どの領域の結果を重視するのか
- 形状に細かな特徴があるか
- 応力や温度などが大きく変化する箇所があるか
- 計算時間や使用できる計算資源に制約があるか
- 求める解析精度はどの程度か
特に重要なのは、解析モデル全体を一律に細かくする必要はないという点です。
詳細に確認したい部分だけメッシュを細かくし、それ以外を比較的粗くする「局所細分化」を利用することで、計算負荷を抑えながら必要な領域を詳細に評価しやすくなります。
例えば、ボルト穴、切り欠き、接触部、曲率の大きい部分などは、局所的に応力や変形が変化しやすい領域です。こうした場所では、周囲よりも細かいメッシュが適する場合があります。
一方、形状や物理量の変化が緩やかな領域まで細かくすると、解析モデルが必要以上に大規模になる可能性があります。
したがって、メッシュサイズの設定では、「どこを細かくするか」と「どこまで細かくするか」を解析目的から考えることがポイントになります。
メッシュサイズが解析精度・計算時間に与える影響
メッシュサイズを変えると、形状の再現性だけでなく、解析結果や計算負荷にも影響する可能性があります。
CAE解析では、「細かいメッシュ=高精度」「粗いメッシュ=低精度」と単純に考えてしまいがちです。
確かに、細かいメッシュは形状や物理量の変化を詳細に表現しやすくなります。
しかし、解析結果はメッシュサイズだけで決まるものではありません。また、細分化を続けても結果の変化が次第に小さくなる場合があります。
重要なのは、解析目的に対して必要な精度と計算負荷のバランスを考えることです。
粗いメッシュの特徴
粗いメッシュでは、1つの要素が表現する領域が大きくなります。
そのため、解析モデルを構成する要素数や節点数を抑えやすく、計算時間を短縮できる可能性があります。
設計初期の検討など、複数の条件を短時間で比較したい場面では、粗めのメッシュから解析を始める方法も考えられます。
一方で、要素が大きすぎると、次のような情報を十分に表現できない場合があります。
- 小さな穴や切り欠き
- 急激な形状変化
- 曲率の大きい部分
- 局所的な応力変化
- 温度や圧力などが大きく変化する領域
例えば、円形の穴を非常に粗い要素で表現すると、実際の滑らかな円形状を十分に再現できない可能性があります。
その結果、形状表現の違いが解析結果にも影響する場合があります。
細かいメッシュの特徴
細かいメッシュでは、対象形状をより多くの要素で表現します。
曲面や細かな形状を捉えやすくなるほか、応力、変位、温度などの空間的な変化を詳細に確認しやすくなります。
特に、結果が大きく変化すると予想される領域では、細分化が有効な場合があります。
ただし、細かくすればするほど常にメリットが大きくなるとは限りません。
要素数や自由度が増えることで、一般的には次のような負荷が増加します。
- 計算時間
- メモリ使用量
- 結果データの容量
- 前処理・後処理の負担
大規模なモデルでは、わずかなサイズ変更でも要素数が大きく増える場合があります。
そのため、必要な領域を選んで細分化する考え方が重要になります。
メッシュサイズと解析精度の関係
メッシュサイズを小さくすると、解析対象をより細かく離散化できるため、解析結果がより安定した値へ近づくことが期待されます。
しかし、ここで注意したいのは「細かくした結果が正解である」とは限らない点です。
CAE解析では、材料特性や荷重、拘束、接触条件なども解析結果に影響します。
メッシュだけを細かくしても、その他のモデル化が適切でなければ、現実の挙動を適切に再現できない可能性があります。
また、評価する物理量によってもメッシュサイズへの感度は異なります。
例えば、全体的な変位は比較的粗いメッシュでも大きく変化しない一方、局所的な最大応力はメッシュサイズによって変化しやすい場合があります。
したがって、「何の結果を評価するための精度なのか」を明確にすることが重要です。
メッシュサイズと計算時間・計算コストの関係
メッシュを細かくすると要素数や節点数が増え、解析する方程式の規模も大きくなる傾向があります。
その結果、計算時間や必要なメモリ容量が増加する可能性があります。
特に3次元解析では、各方向を細分化するため、サイズの変更が要素数へ大きく影響することがあります。
また、解析手法によって計算負荷の増え方も異なります。
静的な線形解析と、大規模な非線形解析、接触解析、過渡解析などでは、同じ要素数でも必要となる計算資源は同じではありません。
そのため、メッシュサイズを決める際は、解析精度だけでなく、利用できる計算環境や許容できる解析時間も考慮する必要があります。
メッシュ化におけるサイズの決め方
適切なメッシュサイズに万能な数値はなく、解析目的・形状・評価対象を踏まえて検討する必要があります。
「メッシュサイズは何mmにすればよいですか」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
しかし、部品の大きさや形状、解析目的、要素タイプなどが異なるため、すべてのCAE解析に共通する数値を設定することは難しいと考えられます。
そこで、実務では複数の条件から適切なサイズを検討します。
解析目的から考える
最初に明確にしたいのは、解析によって何を確認したいのかです。
例えば、
- 部品全体の変形傾向を確認したい
- 最大変位を評価したい
- 特定部位の応力を確認したい
- 温度分布を確認したい
- 設計案同士の相対比較をしたい
など、目的によって必要となる解像度は異なります。
設計案の傾向比較が目的であれば、計算速度を重視する場合があります。
一方、局所的な応力を詳細に評価するのであれば、対象領域のメッシュサイズを慎重に検討する必要があります。
まず解析目的を決め、その目的を満たせるメッシュを考えることが基本です。
対象形状から考える
解析対象の形状も重要な判断材料です。
大きな平面だけで構成された単純な形状と、多数の穴やフィレットを含む複雑な形状では、必要となるメッシュの細かさが異なります。
特に注意したい形状として、次のようなものがあります。
- 小径の穴
- 小さなフィレット
- 切り欠き
- 薄肉部
- 急激な断面変化
- 複雑な曲面
- 部品同士の接触部
こうした形状を粗いメッシュで表現すると、形状そのものが十分に再現できない可能性があります。
ただし、すべての細かな形状を必ず解析モデルへ残す必要があるとも限りません。
解析結果への影響が小さい形状であれば、前処理の段階で簡略化する方法もあります。
結果が大きく変化する領域から考える
CAEでは、形状だけでなく、評価する物理量の変化にも注目します。
構造解析であれば、穴周辺や切り欠き、荷重点、拘束部、接触部などで応力が大きく変化する場合があります。
熱解析では、熱源付近や材料の境界などで温度勾配が大きくなる可能性があります。
このような領域は、周囲より細かく分割することで変化を捉えやすくなります。
一方、結果が緩やかに変化する領域では、比較的粗いメッシュでも目的を満たせる場合があります。
局所細分化を活用する
計算負荷を抑えながら必要な精度を確保する方法として、局所細分化があります。
これは、解析モデル全体を同じサイズで分割するのではなく、重要な領域だけ細かいメッシュを設定する方法です。
| 領域 | メッシュ設定の考え方 |
|---|---|
| 評価対象から離れた単純形状 | 比較的粗くする |
| 穴・切り欠き周辺 | 細かくすることを検討 |
| 接触部 | 現象に応じて細分化を検討 |
| 曲率の大きい部分 | 形状を表現できるサイズを検討 |
| 結果変化が緩やかな領域 | 必要以上に細分化しない |
| 重要な評価領域 | 結果の変化を確認しながら調整 |
局所細分化を活用すれば、モデル全体の要素数を抑えながら、重要な領域を詳細に評価しやすくなります。
ただし、粗い領域から細かい領域へ急激に要素サイズを変えると、メッシュ品質へ影響する場合があります。
周囲とのつながりも考慮しながら、段階的にサイズを変化させることが重要です。
最初から最適値を決めようとしない
複雑な解析では、解析前に最適なメッシュサイズを完全に決めることが難しい場合があります。
そのため、
- 初期メッシュを作成する
- 解析する
- 評価したい結果を確認する
- 重要領域を細分化する
- 再度解析する
- 結果の変化を比較する
という流れで調整する方法があります。
メッシュサイズは一度設定して終わりではなく、解析結果を確認しながら妥当性を検証していくパラメータとして捉えることが重要です。
メッシュ依存性とメッシュ収束の確認方法
メッシュサイズの妥当性を確認するには、サイズ変更による解析結果の変化を評価することが重要です。
メッシュサイズを決める際に知っておきたい考え方が、「メッシュ依存性」と「メッシュ収束」です。
どちらも、現在設定しているメッシュサイズで解析結果を適切に評価できるかを判断するために役立ちます。
メッシュ依存性とは
メッシュ依存性とは、メッシュサイズを変更したときに解析結果がどの程度変化するかという性質を指します。
例えば、同じモデル・材料・荷重条件でも、メッシュサイズを変更すると最大応力が変化する場合があります。
変化が大きければ、その解析結果はメッシュサイズの影響を強く受けている可能性があります。
一方、メッシュを細かくしても結果がほとんど変化しなくなれば、少なくとも評価している量についてはメッシュサイズの影響が小さくなっていると判断しやすくなります。
メッシュ依存性を確認する目的
メッシュ依存性を確認する目的は、現在の解析結果が特定のメッシュサイズに過度に左右されていないかを確認することです。
例えば、1種類のメッシュだけで解析した場合、その結果が十分に安定しているか判断しにくい場合があります。
そこで、メッシュサイズを複数段階に変更して同じ評価量を比較します。
| メッシュ | サイズ | 評価値 | 前条件との差 |
|---|---|---|---|
| A | 粗い | 100 | ― |
| B | 中程度 | 108 | 8 |
| C | 細かい | 110 | 2 |
| D | より細かい | 110.5 | 0.5 |
※数値は考え方を示すための例です。
このように比較すると、どの段階から結果の変化が小さくなっているかを確認できます。
ただし、許容できる変化量は解析目的によって異なります。
一律の基準を設けるのではなく、製品要求や評価目的に応じて判断することが重要です。
メッシュ収束とは
メッシュ収束とは、メッシュを細かくしていったとき、対象となる解析結果が一定の値へ近づいていく状態を確認する考え方です。
例えば、メッシュを段階的に細分化しても最大変位の変化がほとんどなくなれば、その評価量については収束傾向を確認できる可能性があります。
ここで重要なのは、単に「解析計算が終了した」という意味での収束と区別することです。
非線形解析などで使われる計算上の収束と、メッシュサイズ変更に対する結果の収束は、別の観点として整理する必要があります。
なお、メッシュ収束は数値解の誤差(離散化誤差)が小さくなっていることを確認するものであり、解析モデルが実物を正しく再現していることを保証するものではありません。実物との一致には、材料特性、荷重・拘束条件、接触条件などに妥当性があるかの確認も必要です。
メッシュ収束を確認する基本的な流れ
基本的には、次のような手順で比較します。
- 基準となるメッシュサイズを設定する
- 解析を実行する
- 評価対象となる結果を記録する
- メッシュを細かくする
- 同じ条件で再解析する
- 結果の差を比較する
- 必要に応じてさらに細分化する
比較対象としては、解析目的に応じて次のような値が考えられます。
- 変位
- 応力
- ひずみ
- 温度
- 反力
- 固有振動数
重要なのは、解析目的に対応する評価量を選ぶことです。
最大値だけを見る際の注意点
構造解析では「最大応力」を比較したくなることがあります。
しかし、特異点などが存在するモデルでは、メッシュを細かくするほど局所的な応力値が増加し、単純な意味では収束しにくい場合があります。
例えば、理想化された鋭い角部や点荷重、拘束条件の与え方によっては、局所的に非常に大きな応力が計算される場合があります。
このような場合、最大値だけを追い続けても適切な評価につながらない可能性があります。
そのため、
- 評価位置は適切か
- モデル化に特異点がないか
- 局所値だけでなく分布を見るべきか
- 実際に評価したい物理量は何か
といった点も併せて確認する必要があります。
メッシュ収束は「細かくしたから安心」という確認ではなく、解析結果の妥当性を検討するための手段のひとつとして活用することが重要です。
メッシュ化・メッシュサイズ設定時の注意点
メッシュサイズは数値だけで判断せず、解析目的・形状・品質・計算環境を含めて検討することが大切です。
ここまで解説したように、適切なメッシュサイズは解析対象によって異なります。
最後に、実際にサイズを設定・調整する際に注意したいポイントと、よくある疑問を整理します。
解析モデル全体を一律に細かくしない
解析精度を高めようとして、モデル全体を細かくしたくなる場合があります。
しかし、重要度の低い領域まで細分化すると、必要以上に要素数が増える可能性があります。
まず評価したい場所を明確にし、必要な領域を重点的に細分化することが重要です。
「モデル全体を細かくする」のではなく、「必要な場所を必要なだけ細かくする」という考え方が、計算効率とのバランスを取りやすくします。
小さな形状をすべて残す必要があるとは限らない
CADモデルには、解析目的に直接関係しない小さな穴、面取り、フィレットなどが含まれている場合があります。
こうした形状をすべて忠実に再現しようとすると、その形状に合わせて細かいメッシュが必要となり、要素数が増加する可能性があります。
解析への影響が小さいと判断できる形状については、解析モデル作成時に簡略化する方法もあります。
ただし、形状を削除してよいかどうかは解析目的によって異なります。
例えば、応力集中を評価したいフィレットを削除すると、確認したい現象そのものを変えてしまう可能性があります。
形状簡略化は、「小さいから削除する」のではなく、「評価結果に必要か」で判断することが重要です。
メッシュサイズだけでなくメッシュ品質も確認する
適切なサイズを設定していても、要素が極端に歪んでいるなど、メッシュ品質に問題があれば解析へ影響する可能性があります。
そのため、サイズだけを見るのではなく、
- 要素形状
- アスペクト比
- スキュー
- ヤコビアン比
- 要素サイズの遷移
なども、解析手法や使用するCAEソフトに応じて確認します。
メッシュサイズとメッシュ品質は関連していますが、同じものではありません。
サイズは「どの程度細かく分割するか」、品質は「生成された要素が解析に適した状態か」という異なる観点で評価します。
解析条件を変えたらメッシュも見直す
同じCADモデルを利用していても、解析目的や条件が変われば、適切なメッシュサイズも変わる可能性があります。
例えば、全体変形だけを確認していたモデルで、次に局所応力を詳細に評価する場合、従来と同じメッシュが適しているとは限りません。
解析モデルを流用する際も、
「以前使えたメッシュだから今回も問題ない」と考えず、解析目的に対して妥当かを再確認することが重要です。
メッシュサイズを決める際のチェックポイント
最終的には、次の項目を確認すると整理しやすくなります。
| チェック項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 解析目的 | 何を評価したいか |
| 評価領域 | どの部分を詳しく確認するか |
| 対象形状 | 穴・曲面・薄肉部などがあるか |
| メッシュサイズ | 形状や現象を表現できているか |
| 局所細分化 | 必要な部分だけ細かくできているか |
| メッシュ品質 | 要素の歪みなどに問題がないか |
| メッシュ依存性 | サイズ変更で結果が大きく変わらないか |
| 計算負荷 | 許容できる時間・計算資源か |
このように複数の観点から確認することで、単純なサイズ指定ではなく、解析目的に合ったメッシュ設計につなげやすくなります。
メッシュ化とメッシュサイズに関するよくある質問(FAQ)
Q1:メッシュサイズとは何ですか?
メッシュサイズとは、CAE解析で対象形状を分割する要素の大きさを考えるための設定です。
小さくすると細かな形状や物理量の変化を表現しやすくなりますが、要素数や計算負荷も増える傾向があります。
Q2:メッシュは細かいほど解析精度が高くなりますか?
一般には、細分化によって解析結果がより安定した値へ近づくことが期待されます。
ただし、必要以上に細かくしても結果の変化が小さい場合があります。また、解析精度はメッシュだけでなく、材料特性や境界条件などにも左右されます。
そのため、「細かいほどよい」と一律に判断するのではなく、結果の変化を確認することが重要です。
Q3:メッシュサイズは何mmにすればよいですか?
すべての解析に共通するサイズはありません。
対象物の大きさ、形状、解析目的、評価する物理量、要素タイプなどによって適切な値は異なります。初期サイズで解析した後、重要な領域を細分化して結果を比較する方法などが考えられます。
Q4:メッシュを細かくすると計算時間はどうなりますか?
一般に、メッシュを細かくすると要素数や自由度が増えるため、計算時間やメモリ使用量が増加する傾向があります。
増加の程度は、モデル形状、解析手法、ソルバー、計算環境などによって異なります。
Q5:メッシュサイズとメッシュ品質は同じですか?
異なります。
メッシュサイズは主に要素の大きさに関する設定で、メッシュ品質は要素形状や歪みなど、生成されたメッシュが解析に適しているかを評価する考え方です。両方を確認することが重要です。
まとめ|適切なメッシュ化にはサイズ設定が重要
メッシュサイズは、CAE解析の精度と計算負荷の双方に関係する重要な設定項目です。
細かいメッシュは、複雑な形状や局所的な物理量の変化を表現しやすくなる一方、要素数が増えることで計算時間やメモリ使用量も増加する傾向があります。
そのため、メッシュサイズを決める際は「できるだけ細かくする」のではなく、次の点を総合的に考えることが重要です。
- 解析の目的
- 評価したい領域
- 対象形状の特徴
- 必要な解析精度
- 局所細分化の必要性
- メッシュ品質
- メッシュ依存性・収束
- 計算時間や計算資源
特に、解析結果を確認しながらメッシュサイズを段階的に調整し、結果の変化を評価することは、メッシュの妥当性を検討するうえで重要な考え方です。
解析モデル全体を必要以上に細かくするのではなく、目的に応じて必要な領域へ適切なメッシュを配置することで、解析精度と計算効率のバランスを取りやすくなります。
メッシュサイズだけを独立した設定として考えるのではなく、形状、要素タイプ、メッシュ品質、境界条件などを含め、解析モデル全体の妥当性を確認しながら設定することが大切です。



