
加賀マイクロソリューション株式会社様は、電子機器の開発・製造における含有化学物質管理業務にグリーン調達マイスターを導入されています。従来の煩雑だった管理業務が効率化され、工数を約70%削減することに成功されました。グリーン調達マイスター採用の決め手となったポイント、導入によって得られた効果、15年間に渡る活用の変遷、さらに今後の活用に向けた展望について詳しくお話をうかがいました。

左から
加賀マイクロソリューション株式会社 EDMSカンパニー 品質保証部 安全環境課 マネージャー 一海 大樹様
加賀マイクロソリューション株式会社 EDMSカンパニー 品質保証部 安全環境課 マネージャー 今津 謙輔様
加賀マイクロソリューション株式会社 EDMSカンパニー 品質保証部 安全環境課 チーフ 江藤 啓子様
導入前はどのような課題を感じていましたか?

当社は、化学物質情報の管理に早期から積極的に取り組んでおり、自社用にカスタマイズされた管理システムを活用してJGPSSI準拠の様式で含有化学物質情報を作成していました。
2010年には、製品中の化学物質情報をサプライチェーン全体で適切に伝達するための仕組みとして、AIS(アーティクルインフォメーションシート:Article Information Sheet)が発表され、それに対応するための準備が始まりました。しかし、従来のシステムがAISへの対応を行わないことが判明したため、より効率的で将来を見据えた管理体制への移行が急務となり、システムの見直しを決断しました。
従来の管理システムは操作が煩雑で分かりにくい点も課題の一つでした。当時はRoHS指令への対応が求められており、JGPSSIのデータ以外にも多くの情報を登録する必要があったため、日常業務において非常に多くの時間を要していました。
なぜ、グリーン調達マイスターの導入を決めましたか?

新たなシステムへの移行を検討することになり、まず、国内大手の含有化学物質管理システムを提供する3社から提案を受けました。いずれの製品も機能が非常に多岐にわたり、逆に「自分たちが必要とする機能が備わっているのかどうかが見えにくい」という印象を受けました。また、価格面でも導入・運用コストが高く、社内稟議のハードルが高いと判断せざるを得ませんでした。
そうした中で出会ったのが、グリーン調達マイスターでした。導入の決め手となったポイントは大きく3つあります。第一に、AISにしっかりと対応していること。これにより、今後も国際的な化学物質規制に沿った情報管理を継続できる安心感が得られました。第二に、各種エビデンスや関連文書をシステム上で登録・一元管理できること。対象部品に含まれる特定有害物質の含有量が規制値を超えていないことを証明するための分析データ等の情報を、管理データに紐付けて登録できるため、情報のトレーサビリティが格段に向上します。そして第三に複合化が可能であること。当社はお客様に完成品としての含有化学物質情報を提出する必要があるので、入手した各部品の含有物質情報を簡単に複合化できることも重要でした。
グリーン調達マイスターは、当社の選定条件をすべて満たしており、しかもカスタマイズなしで即時に運用が可能な点も大きな魅力でした。加えて、ユーザーインターフェースも直感的で使いやすいことも高い評価ポイントでした。従来のシステムは操作が煩雑で、業務の属人化にもつながっていましたが、グリーン調達マイスターはマニュアルに頼らずともスムーズに使い始めることができました。
現場の実務に寄り添ったシンプルな設計と、高すぎない導入コストも含め、総合的な判断のもと、当社ではグリーン調達マイスターの採用を決定しました。
導入した成果を感じるポイントを教えてください。

グリーン調達マイスターの導入によって、当社では含有化学物質管理に関する業務が大きく変革され、さまざまな成果を実感しています。
まず定量的な成果としてポイントとなるのは、作業工数の大幅な削減です。従来は、システムへの入力業務に多くの手間と時間がかかっていたため、専任の担当者を2名配置し、入力作業に特化した体制をとって対応していました。しかし、グリーン調達マイスターの導入により業務の効率が飛躍的に向上し、現在では専任者を設けずとも日常業務が滞りなく進められる体制へと移行することができました。
グリーン調達マイスターは、ユーザーインターフェースが非常に直感的でわかりやすく、操作性も高いため、専門的な知識がなくても誰もが簡単に扱える仕様となっています。この使いやすさが、入力業務の属人化を防ぎ、複数のメンバーによる柔軟な業務対応を可能にしました。さらに、入力作業にかかる時間が大幅に短縮されたことで、作業効率の向上とともに人件費の削減、ひいては全体のコストダウンにも貢献しています。 加えて、入力ミスや登録漏れといったヒューマンエラーも導入前と比べて大きく減少しており、データ品質の安定やトラブルの未然防止といった観点からも、導入効果の大きさを実感しています。
また、顧客ごとに固有の調査要求が追加されるケースが増えており、個別の化学物質や独自の調査項目に対応する柔軟性が求められています。その点、グリーン調達マイスターではユーザー独自のニーズに応じて、物質の追加や調査項目の設定・管理が柔軟に行えるため、非常に助かっています。

定性的な面でも大きな効果が見られました。以前は事業ごとに含有化学物質管理を行っており、中にはExcelで独自に管理していた部署もありました。そのため、過去に取得したデータが部門間で共有されず、同じ部品でも案件ごとに重複して調査し直すという非効率な運用が発生していました。
品質管理部門を統合し、グリーン調達マイスターを活用するようになってからは、データを一元管理・蓄積できる体制が整い、情報の再利用が可能となったことで、業務の効率化とともに事業を横断した連携の強化にもつながりました。

実際に業務を担当しているメンバーからは、「従来のシステムでは登録作業が苦痛だったが、グリーン調達マイスターでは操作が直感的で、作業がサクサク進み、苦痛から解放された。」「登録作業があっという間に終わってしまった。」など、印象的な声があがっています。これまで負担だった業務が前向きに取り組める作業へと変化したことは、グリーン調達マイスターの大きな成果の一つです。
さらに、2015年にchemSHERPAへの対応が求められた際にも、グリーン調達マイスターはその高い拡張性を発揮しました。専用モジュールを追加するだけで対応が可能だったため、スムーズに移行することができました。現場では「グリーン調達マイスターを長年使い続けてきた中でも、chemSHERPA対応は大きな転換点でした。専用モジュールを追加するだけで対応できたのは非常に助かりましたし、既に登録していたAISデータをそのまま活用できたことで、移行も非常にスムーズでした」との声もあがっています。
このように、柔軟に機能を拡張できる点も、グリーン調達マイスター導入の大きなメリットのひとつです。
15年間に渡るグリーン調達マイスター活用の変遷

UEL株式会社 営業統括本部 環境ENG営業G 諸星 潤
15年前にグリーン調達マイスターを導入して以来、含有化学物質管理の中核として継続的に活用してきました。2012年には、ハードウェアの入れ替え時期を迎え、数百万円規模のコストが発生することをきっかけに、クラウド型の『グリーン調達マイスター@Air®』への移行を決断しました。クラウドサービスに移行することで、初期投資の負担が軽減されるだけでなく、データの安全性や自動バックアップ、バージョンアップ対応が標準で提供されるため、安心して運用を継続できる体制が整いました。
システム操作も従来と変わらないため、スムーズな移行が可能で、現場への負担も最小限に抑えることができました。さらに、各拠点工場に閲覧ライセンスを配布することで、監査時や顧客訪問時に含有化学物質の管理状況を即座に提示できる環境を整備し、社内外への説明責任にも柔軟に対応できるようになりました。
特に嬉しかったのは、「クラウド型にしたことで、社内でのサーバ管理やハードウェアの老朽化対応、グリーン調達マイスターのバージョンアップ作業といった業務に直結しない保守作業から解放されたことです。今ではそうした手間が一切不要になり、本来の業務に集中できるようになりました」と現場担当者も語っています。 このように活用の幅が広がる中、他のシステムへの乗り換えを検討したことは一度もなく、今もなお信頼性の高い運用を継続しています。
UELとのコミュニケーションは業界の最新動向を知る情報源

UELとのコミュニケーションは、単なる製品サポートにとどまらず、私たちにとって業界の最新動向を把握する重要な情報源となっています。日常的な問い合わせには、コールセンターや営業担当者へのメールを活用しており、たとえばchemSHERPA(ケムシェルパ)の機能に関する質問などにも、迅速かつ丁寧に対応いただいています。返信のスピードが早く、的確なサポートをいただけるため、システムの操作だけでなく化学物質管理全般に関する不明点もすぐに解消でき、大きな安心感があります。
また、実際の業務に直結する改善提案にも柔軟に対応していただいています。たとえばREACH規則の制限物質に関する調査において、「エントリー番号を表示してほしい」と要望したところ、一括で表示が可能な仕様に改善していただきました。この対応により、調査業務の効率が格段に向上し、作業工数の削減につながっています。こうした改善が随時反映されるのも、ユーザーの声を大切にしてくれているUELならではの魅力です。
さらに、UEL主催のオンラインセミナーも、私たちにとって非常に貴重な情報源です。特に最新の環境規制動向に関する講演は毎回注目しており、無料でこれだけ有益な情報を得られる機会は他にありません。今ではUELのセミナーが環境情報収集の第一選択肢となっており、グリーン調達マイスター導入のメリットの一つと感じています。
UELとの継続的なコミュニケーションを通じて、システムの活用幅が広がるだけでなく、業界の変化にもスムーズに対応できる仕組みが整いつつあります。
これから含有化学物質管理に取り組む方々へのメッセージ

まず「自社にとって本当に必要な機能は何か」を明確に絞り込むことを強くおすすめします。そのうえで、その機能がどれだけシンプルかつ直感的に使えるかという視点でシステムを選定するとよいでしょう。提案を受ける場面では、ベンダー側から多機能な説明を受けることが多く、こちらのニーズが埋もれてしまうことがあります。そのため、プレゼンを受ける際には「自分たちがやりたいことはこれだ」と具体的に伝え、それがどのように簡単に実現できるのかに注目して質問することが重要です。目的を明確にし、必要な情報に的確にアクセスできるツール選びが、スムーズな運用への第一歩となります。
含有化学物質管理に関する今後の展望
今後の含有化学物質管理においては、欧州のREACH規則が引き続きメインとなるかと思います。それと同時に、紛争鉱物の調査ニーズがますます高まっています。特にスズ、タンタル、タングステン、金に加えて、近年ではマイカやコバルトなど、対象とされる鉱物の範囲が広がりつつあります。また、調査対象となる精錬業者リストも半年から10か月ごとに更新されるため、その都度情報を確認し、再調査を行う必要があるという実務上の負担も増加しています。
現状では、紛争鉱物に関する調査は化学物質そのものの調査とは異なるので、グリーン調達マイスターのデータベースと連携しているわけではありません。しかし、実際の業務ではグリーン調達マイスター内の部品情報をもとに、それらの物質が含まれているかを確認する場面が多く、紛争鉱物データとの連動機能への期待が高まっています。こうした統合的な管理が可能になれば、担当者の負担をさらに軽減できるでしょう。

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