RoHS指令の対象製品とは?11カテゴリー・対象外製品・判断フローを解説

RoHS指令の対象製品とは

RoHS指令の対象製品は、主にAC1,000V以下・DC1,500V以下で使用されることを意図した電気電子機器です。

対象製品はRoHS指令の11カテゴリーで整理されます。ただし、大型定置産業用工具や大型据付固定装置など、明示的な除外対象に該当する製品は対象外になり得ます。

そのため、自社製品がRoHS対象かどうかは、製品名だけでは判断できません。実務では、次の観点を順番に確認します。

  • 電気電子機器に該当するか
  • AC1,000V以下・DC1,500V以下で使用されることを意図しているか
  • RoHS指令の11カテゴリーに該当するか
  • 大型定置産業用工具や大型据付固定装置などの除外対象に該当しないか
  • EU市場へ投入されるか、EU向けサプライチェーンに入るか
  • 顧客からRoHS適合証明や含有化学物質調査を求められているか

各項目の詳しい確認方法は、次章のチェックリストで解説します。

RoHS指令は、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限するEU規制です。完成品メーカーだけでなく、部品・材料・サブユニットを供給する企業も、顧客からRoHS適合証明や含有化学物質情報を求められる場合があります。

RoHS指令の基本概要、対象物質、対応手順をまとめて確認したい場合は、「RoHS(ローズ)指令とは?基礎から実務までわかりやすく徹底解説」もあわせてご覧ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の企業・環境・状況への適用や効果を保証するものではありません。内容の利用は読者ご自身の判断と責任にてお願いいたします。参考としてご活用ください。

監修:UEL株式会社編集部

UEL株式会社のビジネスクリエーション部と現場に精通した社内有識者が監修しています。

目次

RoHS対象製品か確認する詳細チェックリスト

自社製品がRoHS対象製品に該当するかを確認する際は、製品仕様、用途、設置方法、販売形態、EU向け商流、顧客要求を整理します。

チェック項目確認内容
電気電子機器に該当するか電源、電池、電流、電磁場を利用して本来の機能を果たす製品か
定格電圧が対象範囲に入るかAC1,000V以下・DC1,500V以下で使用されることを意図しているか
11カテゴリーのどれかに該当するか家電、IT・通信機器、照明機器、医療機器、監視・制御機器、その他EEEなどに分類できるか
除外対象に該当しないか大型定置産業用工具、大型据付固定装置など、RoHS指令上の除外対象に該当しないか
EU市場向けか自社がEU市場に製品を投入するか
EU向けサプライチェーンに入るか自社が直接輸出しない場合でも、顧客製品に組み込まれてEUへ出る可能性があるか
顧客からRoHS適合証明を求められているか取引条件として証明書や含有化学物質調査への回答が必要か
部品・材料・交換部品として供給されるかRoHS対象製品に組み込まれる部品、材料、保守部品として使われるか
他規制も関係しないかREACH、電池規則、包装材規制、製品安全規制、顧客グリーン調達基準などの確認が必要か

このチェックリストの要点は、RoHS対象判断を製品名だけで行わないことです。

たとえば「産業用」「大型」「特定用途」と呼ばれる製品でも、それだけでRoHS対象外になるわけではありません。反対に、部品や材料のようにRoHS指令の直接対象ではない場合でも、顧客製品に組み込まれる場合はサプライチェーン上の確認対象になることがあります。

RoHSの11カテゴリーとは

RoHSの11カテゴリーとは、対象となる電気電子機器を分類するための製品区分です。

現在はカテゴリー11「その他の電気電子機器」があるため、上位10カテゴリーに分類しにくい製品でも、電気電子機器に該当し、除外対象でなければRoHS対象になる可能性があります。

No.RoHS 11カテゴリー主な製品例
1大型家庭用電気製品冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど
2小型家庭用電気製品掃除機、トースター、電気ポットなど
3IT・通信機器パソコン、プリンター、ルーターなど
4民生用機器テレビ、オーディオ機器、カメラなど
5照明機器LED照明、照明器具、ランプなど
6電気電子工具電動ドリル、電動のこぎりなど
7おもちゃ・レジャー・スポーツ用品電子玩具、ゲーム機、運動機器など
8医療機器診断機器、治療機器、測定機器など
9監視・制御機器センサー、制御装置、計測機器など
10自動販売機飲料自動販売機、券売機など
11その他の電気電子機器上記に分類しにくい電気電子機器

11カテゴリーへの分類では、製品名だけでなく、主な機能、用途、販売形態、使用環境を確認します。

たとえば、センサーは監視・制御機器に該当する可能性があります。一方で、大型設備の一部として供給される場合は、設備全体の扱い、部品としての位置づけ、顧客要求、最終販売地域も確認する必要があります。

複合機能を持つ製品では、どの機能が主機能かを整理することが重要です。

RoHSで制限される主な物質

RoHS指令では、対象となる電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用が制限されています。

現行RoHSで確認される代表的な制限物質は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE、DEHP、BBP、DBP、DIBPです。

物質主な確認対象の例
はんだ、めっき、ガラス、セラミックなど
水銀ランプ、スイッチ、測定機器など
カドミウムめっき、顔料、樹脂安定剤など
六価クロム表面処理、めっき、塗装など
PBB難燃剤
PBDE難燃剤
DEHP樹脂可塑剤
BBP樹脂可塑剤
DBP樹脂可塑剤
DIBP樹脂可塑剤

RoHS適合確認では、完成品全体の平均濃度ではなく、原則として均質材料単位で含有状況を確認します。
そのため、はんだ、樹脂、めっき、塗膜、ケーブル被覆など、材料ごとの含有状況を確認する必要があります。
完成品メーカーは、部品表、材料情報、サプライヤー証明書、分析データ、変更管理情報などを用いて、製品全体の適合性を確認します。

RoHSで制限される10物質の用途、閾値、人体・環境への影響リスクを詳しく確認したい場合は、「RoHS指令で制限される10物質の基本用途と人体・環境への影響リスク」をご覧ください。

RoHS対象製品・対象外になり得る製品・部品の違い

RoHS対象製品、対象外になり得る製品、部品・材料・サブユニットでは、法令上の位置づけと実務上の確認範囲が異なります。

区分法令上の考え方主な例実務上の注意点
RoHS対象製品電気電子機器に該当し、電圧条件と11カテゴリーに該当し、除外対象でない製品家電、IT機器、照明機器、医療機器、監視・制御機器などEU市場投入の有無、制限物質、適用除外、CEマーキングなどを確認する
対象外になり得る製品RoHS指令上の明示的な除外対象に該当する可能性がある製品大型定置産業用工具、大型据付固定装置など「産業用」「大型」だけでは対象外にならない。除外根拠の文書化が必要
部品・材料・サブユニットそれ自体が完成した電気電子機器でなければ、直接対象とは限らない基板、樹脂、はんだ、ケーブル、モーター、センサー部品などRoHS対象製品に組み込まれる場合、顧客から含有情報や適合証明を求められることがある

この表の要点は、RoHSの法令上の直接対象と、取引上の顧客要求を分けることです。

部品・材料は直接対象ではない場合でも、顧客製品がRoHS対象であれば、サプライチェーン上の調査対象になる可能性があります。

RoHS対象になりやすい製品例

RoHS対象になりやすい製品には、家電製品、IT・通信機器、照明機器、電気電子工具、医療機器、監視・制御機器などがあります。

製品群主な製品例確認ポイント
家電製品冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ大型・小型家庭用電気製品への該当性
IT・通信機器パソコン、プリンター、ルーター、通信端末本体、電源、周辺機器、ケーブル類
照明機器LED照明、照明器具、調光器電源ユニット、基板、配線部材
電気電子工具電動ドリル、電動のこぎり、研磨機手持ち工具か大型定置工具か
医療・計測機器診断機器、測定器、モニタリング装置医療機器規制や計測用途との関係
監視・制御機器センサー、制御装置、計測機器単体機器か設備の一部か

RoHS対象製品は、消費者向け製品だけではありません。

BtoB向けの監視・制御機器、計測器、医療機器、産業用の電気電子機器も、条件によって対象になる可能性があります。

RoHS対象外になり得る製品と判断時の注意点

大型定置産業用工具や大型据付固定装置などは、RoHS対象外になり得ます。

ただし、「産業用」「大型」「特定用途」というだけで対象外とは判断できません。

RoHS指令では、大型定置産業用工具、大型据付固定装置のほか、一定の輸送手段、専門用途の非道路移動機械、能動植込み医療機器、軍事・安全保障目的の機器なども除外対象として整理される場合があります。

対象外と判断する場合は、次の点を確認します。

確認項目確認内容
除外規定RoHS指令上のどの除外規定に該当するか
製品構成単体機器か、複数機器の大型組合せか
設置方法専門家による設置・撤去・保守が必要か
設置場所恒久的に特定場所へ設置されるか
使用者一般消費者向けではなく、専門用途か
文書化除外判断の根拠を文書化できるか
顧客要求RoHS適合証明や含有調査を求められていないか

対象外と判断する場合は、「対象外である」という結論だけでなく、どの除外規定に、どの根拠で該当するのかを説明できる状態にしておくことが重要です。

大型定置産業用工具

大型定置産業用工具は、RoHS対象外として検討されることがある代表的な製品です。

ただし、産業用製品であれば必ず対象外になるわけではありません。

確認ポイント説明
大型の機械・機器・部品の集合体か単なる単体機器ではなく、複数要素が一体として特定用途に用いられるか
特定用途か特定の製造、加工、研究開発などの用途に使われるか
恒久的に設置されるか一時的な設置ではなく、一定の場所で継続使用されるか
専門家が設置・撤去するか一般ユーザーではなく、専門作業者による設置・撤去が必要か
専門家が使用・保守するか産業施設や研究開発施設で専門家により使用・保守されるか

この表の要点は、「大型」「産業用」という名称だけでは不十分であることです。

大型定置産業用工具に該当するかは、用途、設置方法、専門家による設置・撤去・保守、使用場所をあわせて確認します。

大型据付固定装置

大型据付固定装置は、建物や設備に恒久的に据え付けられる大型装置を想定した除外対象として検討されることがあります。

確認ポイント説明
複数の機器・装置の大型組合せか単体機器ではなく、複数種類の装置が組み合わされているか
あらかじめ定められた専用場所で使用されるか汎用的に移動して使う製品ではなく、特定場所で恒久使用されるか
専門家が組立・設置するか設置に専門作業が必要か
専門家が撤去するか通常のユーザーが容易に取り外すものではないか
恒久的な設置か建物や設備と一体的に据え付けられるか

大型据付固定装置の判断では、製品単体の仕様だけでなく、設置場所、施工条件、撤去方法、顧客用途まで確認する必要があります。

部品・材料・サブユニットはRoHS対象になるか

部品・材料・サブユニットは、それ自体が完成した電気電子機器でなければ、RoHS指令の直接対象とは限りません。

ただし、RoHS対象製品に組み込まれる場合は、顧客からRoHS適合証明や含有化学物質情報を求められることがあります。

部品・材料は直接対象とは限らない

RoHS指令の直接の対象は、原則としてEU市場に投入される電気電子機器です。

そのため、樹脂材料、金属材料、はんだ、塗料、接着剤などは、それ自体が完成した電気電子機器でなければ、RoHS指令の直接対象製品とは限りません。

一方で、これらの材料がRoHS対象製品に使用される場合、完成品の適合性に影響します。

そのため、部品メーカーや材料メーカーは、顧客から次のような情報提出を求められることがあります。

  • RoHS適合証明書
  • 不使用証明書
  • 含有化学物質情報
  • 分析データ
  • chemSHERPAなどの調査回答
  • 材料変更・サプライヤー変更時の再確認情報

法令上の直接義務と顧客要求の違い

区分内容
法令上の直接義務EU市場に電気電子機器を上市する事業者に求められる義務完成品メーカー、輸入者、販売者など
取引上・サプライチェーン上の顧客要求顧客製品のRoHS適合を確認するために、部品・材料サプライヤーへ求められる情報提供RoHS適合証明書、含有化学物質調査、分析データなど

部品・材料がRoHS指令の直接対象ではない場合でも、実務上は顧客要求の対象になり得ます。

BtoB製造業では、法令上の義務と顧客要求を分けて管理することが重要です。

単体で販売される部品

単体で販売される部品は、その部品自体が電気電子機器に該当するか、またはRoHS対象製品に組み込まれる用途かを確認します。

部品例確認ポイント
電源アダプター単体の電気電子機器として扱われる可能性
ケーブル付属品か、単体販売品か、対象EEE用か
基板ユニット完成品に組み込まれる用途か、独立機能を持つか
センサーモジュール独立した機器か、設備の構成部品か
モーター単体販売か、完成品部品か

部品であっても、販売形態や機能によって確認範囲は変わります。

単体で機能する電気電子機器としてEU市場に投入される場合と、完成品に組み込まれる部品として供給される場合では、実務対応が異なります。

完成品に組み込まれる部品

完成品に組み込まれる部品は、最終製品のRoHS適合に影響します。

完成品メーカーは、構成部品や材料ごとに対象物質の含有状況を確認する必要があります。

確認項目内容
部品表RoHS対象製品に使われる部品を特定する
材料情報金属、樹脂、塗料、接着剤などを確認する
含有調査制限物質の含有有無を確認する
証明書RoHS適合証明書や不使用証明書を収集する
分析データ必要に応じて材料分析結果を確認する
変更管理材料変更やサプライヤー変更を管理する

RoHS対応では、完成品だけでなく、部品単位、材料単位での情報管理が必要になります。

特に材料変更やサプライヤー変更があった場合は、RoHS適合性への影響を確認する必要があります。

交換部品・スペアパーツと市場投入日

交換部品やスペアパーツは、対象となる完成品、市場投入日、供給目的を確認する必要があります。

特に、旧製品の修理や保守に使われる部品では、新製品とは異なる確認が必要になる場合があります。

確認項目内容
対象製品どの完成品に使われる交換部品か
市場投入日完成品や部品がいつEU市場に投入されたか
用途修理、再使用、機能更新、容量アップグレード、保守のどれか
販売地域EU向けに供給されるか
顧客要求RoHS適合証明が求められているか
再使用部品かクローズドループで回収・再使用される部品か

交換部品・スペアパーツでは、現在の販売有無だけでなく、対象製品の市場投入日や供給目的が判断に関係することがあります。

対象外または特則の対象と考える場合でも、根拠を整理しておくと説明しやすくなります。

RoHS対象製品の判断フロー

RoHS対象製品かどうかは、次の流れで確認すると整理しやすくなります。

Step判断項目確認内容
1電気電子機器に該当するか電流や電磁場を利用して本来の機能を果たすか
2電圧条件を満たすかAC1,000V以下・DC1,500V以下の定格電圧で使用されるか
311カテゴリーに該当するかAnnex Iのカテゴリー、特にカテゴリー11を含めて確認する
4除外対象に該当するか大型定置産業用工具、大型据付固定装置などに該当するか
5EU市場に投入されるか直接輸出、商社経由、顧客製品への組込みを確認する
6顧客要求があるかRoHS適合証明、含有調査、グリーン調達基準を確認する
7判断根拠を残すか仕様書、設置条件、商流、顧客要求を文書化する

このフローは、初期判断のための整理方法です。

最終判断では、最新の法令原文、公的機関の情報、顧客要求、契約条件を確認してください。

Step1. 電気電子機器に該当するか確認する

まず、自社製品が電気電子機器に該当するかを確認します。

確認するポイントは、次のとおりです。

  • 電源を使用するか
  • 電池やバッテリーで動作するか
  • 電流や電磁場を利用しているか
  • 電気機能が製品の本質的な機能に関係するか
  • 電気部品が単なる付属品ではないか

電気電子機器に該当しない場合は、RoHS対象外と考えられる可能性があります。

ただし、電気部品を含む複合製品では、製品全体の機能を見て確認する必要があります。

Step2. 電圧条件を確認する

次に、製品の定格電圧を確認します。

RoHS対象製品かどうかを確認するうえで、AC1,000V以下、DC1,500V以下という電圧条件は重要な判断軸です。

確認資料としては、製品仕様書、銘板、取扱説明書、設計資料、部品仕様書などがあります。

電源アダプターやバッテリーパックを含む製品では、本体だけでなく付属品の扱いも確認しましょう。

Step3. 11カテゴリーに分類する

電気電子機器に該当する可能性がある場合は、RoHSの11カテゴリーのどこに入るかを確認します。

たとえば、冷蔵庫は大型家庭用電気製品、パソコンはIT・通信機器、LED照明は照明機器、センサーは監視・制御機器に該当する可能性があります。

上位10カテゴリーに分類しにくい製品でも、カテゴリー11「その他の電気電子機器」に該当する可能性があります。

分類が難しい場合は、製品の主機能、販売時の説明、顧客の使用目的を確認します。

Step4. 除外対象に該当するか確認する

11カテゴリーに該当する可能性がある製品でも、RoHS指令上の除外対象に該当する場合があります。

特に、産業用機器、大型設備、固定設置される装置では、対象外になり得るかを確認します。

確認するポイントは、次のとおりです。

  • 大型定置産業用工具に該当するか
  • 大型据付固定装置に該当するか
  • RoHS指令上のその他の除外対象に該当するか
  • 専門作業者による設置・撤去が必要か
  • 一般消費者向けではなく、専門用途の製品か
  • 除外規定に該当する根拠を説明できるか

対象外と判断する場合は、判断根拠を文書化しておくことが重要です。

Step5. 販売地域と商流を確認する

RoHS指令はEU市場への投入に関係します。

そのため、自社がEUへ直接輸出していなくても、顧客製品に組み込まれてEU市場に出る場合は、RoHS対応を求められる可能性があります。

確認する商流は、次のとおりです。

  • 自社がEUへ直接販売するか
  • 顧客製品に組み込まれてEUへ出るか
  • 商社経由でEU向けに販売されるか
  • OEM・ODM製品としてEUへ出るか
  • EU向け製品の保守部品として供給されるか

EU向けの可能性がある場合は、契約書、仕様書、注文書、顧客要求事項を確認しましょう。

Step6. 顧客要求を確認する

法令上の対象判断とは別に、顧客からRoHS適合証明や含有化学物質調査を求められる場合があります。

特に、次のようなケースでは顧客要求を確認する必要があります。

  • 顧客の完成品に組み込まれる部品を供給する場合
  • 商社経由で販売される場合
  • 最終販売地域が不明な場合
  • 顧客のグリーン調達基準がある場合
  • 対象外の根拠が明確でない場合

RoHS対応では、法的義務の有無と、取引条件としての要求を分けて整理することが重要です。

Step7. グレーゾーンは専門確認を行う

RoHS対象かどうかが明確でない場合は、社内外の専門確認を行うことが望ましいです。

特に、産業用装置、制御盤、センサー、交換部品、複数用途で販売される部品は、判断が難しくなりやすい領域です。

判断が難しい場合は、製品仕様、用途、設置方法、商流、顧客要求を整理したうえで、品質保証部門、法規制担当、顧客窓口、専門機関に確認しましょう。

RoHS対象製品の判断でよくある誤解

RoHS対象判断では、「電気を使うから対象」「産業用だから対象外」「部品だから不要」といった単純な判断は避ける必要があります。

誤解1:電気を使う製品はすべてRoHS対象である

電気を使うだけでは、RoHS対象製品とは限りません。

電気電子機器への該当性、電圧条件、11カテゴリー、除外対象、EU市場投入の有無を確認する必要があります。

誤解2:上位10カテゴリーに入らなければ対象外である

上位10カテゴリーに入らない製品でも、カテゴリー11「その他の電気電子機器」に該当する可能性があります。

分類しにくい製品ほど、除外対象に該当するかまで確認が必要です。

誤解3:産業用製品は必ずRoHS対象外である

産業用製品でも、電気電子機器としてEU市場に投入される場合はRoHS対象になる可能性があります。

大型定置産業用工具や大型据付固定装置に該当するかは、条件を確認して判断します。

誤解4:特定用途なら対象外である

特定用途の製品であっても、それだけでRoHS対象外になるわけではありません。

対象外と判断できるのは、RoHS指令上の明示的な除外規定に該当する場合です。

誤解5:部品単体が対象外ならRoHS対応は不要である

部品単体が直接対象ではない場合でも、RoHS対象製品に組み込まれる場合は顧客要求の対象になり得ます。

部品・材料メーカーは、取引条件としての調査・証明対応を確認する必要があります。

誤解6:EUに直接輸出していなければ関係ない

直接輸出していなくても、顧客製品に組み込まれてEU市場に出る場合は、サプライチェーン上でRoHS対応を求められることがあります。

誤解7:RoHS対象外なら他規制の確認も不要である

RoHS対象外と判断できる場合でも、REACH、電池規則、包装材規制、製品安全規制、顧客グリーン調達基準などが関係する可能性があります。対象外と判断した場合でも、他規制や顧客要求の確認は必要です。

RoHS対象製品に関するよくある質問

Q1:RoHS指令の対象製品は何ですか?

RoHS指令の対象製品は、主にAC1,000V以下・DC1,500V以下で使用されることを意図した電気電子機器です。
家電、IT・通信機器、照明機器、医療機器、監視・制御機器などが対象になり得ます。上位10カテゴリーに分類しにくい製品でも、カテゴリー11「その他の電気電子機器」に該当する可能性があります。

Q2:RoHSの11カテゴリーとは何ですか?

RoHSの11カテゴリーとは、対象となる電気電子機器を分類するための製品区分です。
大型家庭用電気製品、小型家庭用電気製品、IT・通信機器、民生用機器、照明機器、電気電子工具、玩具・レジャー・スポーツ用品、医療機器、監視・制御機器、自動販売機、その他の電気電子機器が含まれます。

Q3:RoHS対象外になる製品はありますか?

RoHS対象外になり得る製品はあります。
代表例として、大型定置産業用工具、大型据付固定装置などがあります。ただし、「産業用」「大型」「特定用途」というだけで対象外にはなりません。
RoHS指令上の除外規定に該当するか確認が必要です。

Q4:部品や材料はRoHS対象ですか?

部品や材料は、それ自体が完成した電気電子機器でなければ直接対象とは限りません。
ただし、RoHS対象製品に組み込まれる場合は、顧客からRoHS適合証明や含有化学物質情報を求められることがあります。

Q5:サブユニットやモジュールはRoHS対象ですか?

サブユニットやモジュールは、独立した電気電子機器として販売されるか、完成品に組み込まれる部品かで確認範囲が変わります。
単体で機能する製品としてEU市場に投入される場合は、RoHS対象になる可能性があります。
完成品の一部として供給される場合でも、顧客要求の対象になることがあります。

Q6:EUに直接輸出していなくてもRoHS対応は必要ですか?

EUに直接輸出していなくても、RoHS対応を求められる場合があります。
自社部品が顧客製品に組み込まれ、その完成品がEU市場に投入される場合、サプライチェーン上でRoHS適合情報を求められる可能性があります。

Q7:電池はRoHS対象ですか?

電池はRoHSだけでなく、電池規則などの個別規制もあわせて確認する必要があります。
電池が電気電子機器に内蔵される場合は、完成品のRoHS適合確認に関係します。一方、電池そのものについてはEU電池規則などの個別規制を確認する必要があります。

Q8:はんだはRoHS対象ですか?

はんだは、それ自体が完成した電気電子機器でなければRoHS指令の直接対象とは限りません。
ただし、RoHS対象製品の基板や電子部品に使用される場合は、鉛などの制限物質の含有状況を確認する必要があります。
用途によっては適用除外の確認が必要になる場合もあります。

Q9:対象外製品でもRoHS適合証明を求められることはありますか?

対象外製品でも、顧客からRoHS適合証明を求められることがあります。
これは、法令上の対象判断とは別に、取引条件や顧客のグリーン調達基準として要求される場合があるためです。
対象外と判断する場合でも、判断根拠と顧客要求を整理しておくことが重要です。

まとめ

RoHS指令の対象製品は、主にAC1,000V以下・DC1,500V以下の定格電圧で使用されることを意図した電気電子機器です。

対象範囲は11カテゴリーで整理されますが、カテゴリー11「その他の電気電子機器」があるため、上位10カテゴリーに分類しにくい製品でも対象になる可能性があります。

一方で、大型定置産業用工具や大型据付固定装置など、RoHS指令上の除外対象に該当する可能性がある製品もあります。ただし、「産業用」「大型」「特定用途」というだけで対象外になるわけではありません。

自社製品がRoHS対象かどうかを判断する際は、次の流れで確認すると整理しやすくなります。

  1. 電気電子機器に該当するか確認する
  2. 定格電圧が対象範囲に入るか確認する
  3. RoHSの11カテゴリーに分類する
  4. カテゴリー11「その他の電気電子機器」に該当する可能性も確認する
  5. RoHS指令上の除外対象に該当するか確認する
  6. EU市場やEU向けサプライチェーンに入るか確認する
  7. 顧客からRoHS対応を求められているか確認する
  8. 判断が難しい場合は専門確認を行う

特に、部品、材料、サブユニット、交換部品、産業用機器、大型据付装置は、判断が難しくなりやすい領域です。製品名だけで判断せず、用途、設置方法、販売形態、EU向け商流、顧客要求、除外根拠を整理することが重要です。
最終判断では、最新の法令原文、公的機関の情報、専門機関の見解、顧客要求事項を確認してください。

RoHS指令の全体像を確認したい方は、「RoHS(ローズ)指令とは?基礎から実務までわかりやすく徹底解説」をご覧ください。対象物質の用途、閾値、人体・環境への影響リスクを詳しく確認したい方は、「RoHS指令で制限される10物質の基本用途と人体・環境への影響リスク」もあわせてご確認ください。